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音楽練習用のスタジオと言っても、さまざまです。クラシック系、ロックやジャズ系、使用する楽器やスペースによって、防音や音響設計が異なります。クラシック系では繊細な音を活かす空間とする必要がありますし、ロックやジャズ系などでは、音圧レベルが最高となるドラムやアンプを使用するギターやベースへの対応が必要となります。「空間づくりにおいて、音を自在にコントロールする」という独自の友伸建設・音響技術のコンセプトechouのもと、私たちは数多くのスタジオづくりの実績があります。
上智短期大学 音楽練習室(創立40周年記念事業)
上智短期大学は神奈川県秦野市、豊かな自然がのこる丹沢山地の南に位置します。その稜線をのぞむ広々としたキャンパスに、上智短期大学創立40周年記念事業の一環として新設された上智短期大学・音楽練習室をご紹介します。
施工だけでなく、遮音・デザイン・設備計画までを含むトータルな提案をもとめられたため、友伸建設の現場スタッフとアーキテクトが計画初期から打ち合わせに参加しました。また予算の一部は記念事業への貴重な寄付金により賄われましたので、見積もりの精査は厳しく、提案後も着工にいたるまで細かなやり取りを重ねました。
ご提案書(CGイメージ)
友伸建設では提案書にCGを活用して、お客様にできるだけ具体的なイメージをつかんでもらうようにつとめています。
音環境が重要なのはあたりまえですが、演奏者が気持ちよく過ごすことができる空間デザインも、楽器演奏室やスタジオの大切な要素だと考えています。
遮音計画
近隣およびキャンパス内の建物どおしは十分に離れていたため、遮音計画は練習室内の楽器を音源、上階のサービスラーニングセンターと部室を受音室として検討しています。
遮音層は既存のコンクリート躯体を固定遮音層として、その内側に浮き遮音層を新設しました。周辺環境がきわめて静かなために外壁の窓を通じた音のまわりこみの影響が懸念されたので、老朽化した既存サッシをカバー工法(※)により更新し、なおかつ浮き遮音層側の新設のサッシとの間に約45cmの空気層をとることで高い遮音性能を確保しました。壁が傾斜している部分は音響的な拡散を意図しつつ、外部へのダクト経路にもなっています。
※ カバー工法とは既存サッシ枠を残し新規枠をその上にかぶせて取付ける改修工法です。一般的に防音工事では内装側だけで対処することが多くなりますが、既存の躯体の改修にまでふみこめるのは建築の施工もできる友伸建設の強みの一つです。
今回は、学生のみなさんの多様なサークル活動を支援するため、楽器やコーラスだけでなく、ダンスの練習室としても利用できることが求められました。
遮音層であるコンクリートの浮床にフローリングを直接張ると堅すぎるため、緩衝として運動しやすく疲労や怪我を防ぐエアロビクス用システムフロアを施工しています。
またサークル活動に応じた冷暖房負荷や換気量に幅広く対応できるよう、空調計画では十分な設備能力を確保しました。
音響測定
遮音工事の竣工前には、計画したとおりの遮音性能が確保されているかどうかを確認するために、現場で室間と特定場所間の音圧差を測定します。
今回の測定では、鋼製遮音ドアは適切に取りつけられ所定の性能が確保されていること、また上階の諸室にたいしても提案時に設定した目標性能をすべて上まわっていることが確認できました。換気風量が大きいために心配されていたファンによる室内騒音についても、想定したダクト風量を確保しながら楽器演奏に十分な静けさを確保できています。
これらのデータは報告書にまとめて、竣工図書や室内の空気環境測定結果などと一緒にお引き渡しの際に提出しました。
プライベートスタジオ in 蓼科
閑静な別荘地に計画されたプライベートスタジオ。週末には演奏好きな仲間が集い、楽しい演奏会が行われています。緑豊かな自然に包まれた環境抜群のスタジオです。スタジオはリビングの隣なので練習に疲れたら防音扉を開けてコーヒータイム。
ライブホール床面積 約50㎡ / 内装工費300万円~ / デザイン アークアンドトークアソシエイツ
プライベートスタジオ in 神奈川
プロギタリストO氏がご自宅新築工事といっしょにプライベートスタジオをつくりました。 バンド仲間とのリハーサル、ご自身の創作活動、ギターレッスン。時間を気にせず好きな時間に思いっきり演奏できる喜び。echouの演出が共鳴して納得の音空間が生まれました。低音がしっかり吸収されて、音の輪郭がはっきり聞こえる長時間演奏も苦にならない、いい部屋だと思う。とバンドメンバーの声が寄せられています。
スタジオ床面積 約30㎡ / スタジオ内装工費 250万円~ / 木造3階新築工事(スタジオ部分はRC造) 設計 一級建築士事務所 OM-1